2015年2月12日木曜日

『やらない夫は魔王の城に滞在するようです』を読んだ

『やらない夫は魔王の城に滞在するようです』を読んだ

あらすじ

魔王を倒しに来たやらない夫が魔王に完敗したけれど、魔王に気に入られてそのままお城に客として滞在する話。

レビュー

実は魔王が良い奴だったという話です。こころざしも高くて社会貢献度も高いです。悪い奴じゃないというレベルじゃないです。設定をちゃんと固めて魔王を本気で良い奴に仕立て上げています。魔王がいないと世界が成り立ちません。部下もみんな良い奴です。やらない夫も良い奴です。

と、いわれると気持ちの良い話と予想されますが。なんとその実は。運命とは残酷なものだ。シリアスなテーマが潜んでいます。まぁ簡単に言うとお別れがあります。それを諦めてからが始まりです。例えると、病気で余命3ヶ月と医者に言われたとして、その3ヶ月をどう過ごすかという話です。あとは遊んで暮らすのか、それとも住民の要望だった公園を完成させるのか。これは黒澤映画です。『生きる』を観ましょう。名作です。

展開が早くてサクサク読めます。バトルもほとんど無いです。演出も台詞もよかったです。ただ強いて言うとしたら、お別れの挨拶を何回も言ってウザイです。例えば半年後にお別れとするじゃないですか。すると、『今までありがとう、後のことは頼んだ』と。一通り言うんです。部下も『まかしとけ』と全員が一通り言うんです。

そして残り一ヶ月になるとまた言うんですよ。『前にも言いましたが、後のことは頼んだ』と。部下も『わかってる』と全員が一通り言うんです。そしてもう明日となるとまた言うんですよ。『最後にみなさんありがとう、後のことは頼んだ』と。部下も『わすれないわ』と全員が一通り言うんです。現実だといい加減キレます。さっさと死ねよ。

あとは、最後の最後で台無しです。ですが、物語が全て終わった後に台無しです。しかも無意味に台無しです。どんでん返しではありません。何の影響も与えない台無しです。読者はただヒクのみです。斬新な台無しです。追求すると流行るかもしれない。未来につながる台無しです。




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