2014年6月29日日曜日

『やる夫系AA紙芝居 ドグラ・マグラ』を読んだ

『やる夫系AA紙芝居 ドグラ・マグラ』を読んだ

あらすじ

記憶喪失の若者が、記憶を取り戻すと殺人事件が解決すると言われて、記憶を取り戻すために論文を読む話。

レビュー

原作は日本探偵小説三大奇書の一つ、ドグラ・マグラです。読んだら必ず一度は精神に異常を来たすと昔から恐れられている小説です。でも特に気が狂うことはないです。ただの煽り文句です。全米が泣いたと一緒です。全米は言い過ぎです。過大広告です。雰囲気作りです。だからコレ今から読む人に言ってはいけなかったかもしれない。やっぱり言いなおそう。読むと必ず精神に異常を来たすので気をつけてください。やり残したことがある人は読む前にやり遂げておきましょう。

精神に異常を来たすことはありませんが、読んだら一度は挫折する人は多いと思います。とにかく読みにくいです。文体が最悪です。古い漢字やカタカナ混じりの文章に大量の専門用語に、とても読むのがつらいです。読むのが辛くて本を投げることを精神異常と言うのであれば合ってます。でもやる夫のAAを使ってある分原作よりはるかに読みやすいので、やっぱり精神に異常を来たすことはまずありません。

でもやっぱりよく考えると必ず精神に異常を来たすかもしれない。ちょっとネタバレします。嫌な人はこの段落を飛ばしてください。実は精神異常は世の中みんな起こしているとこの本の中に書いてあります。程度の問題であって日常生活を難なくすごしている人も全員もれなく精神異常者だと言いきってます。だから読むと精神に異常を来たすのではなくて、読むと今あなたが精神に異常を来たしていることが判明します。それを精神に異常を来たすというのであれば合ってます。

誰が読んでも面白い話ではないです。奇書は面白いという意味ではありません。奇抜という意味です。個人的にはつらかったけど惰性で読みました。だって三大奇書だよ。面白いに決まってるよ。期待をこめて諦めずに読みました。ちなみに中国三大奇書は面白いという意味です。中国語と日本語で漢字の意味は変わるの気をつけてください。中国三大奇書は西遊記、三国志、水滸伝です。全部王道です。まったく奇書ではないです。

話の内容ですけど、ある学者が生涯かけて研究した論文を次々と読まされます。それが全体の7割です。まるで教科書です。学問を一つ勉強する気で読まないと理解できません。作者が10年かけて書いた本です。ちゃんと研究を仕上げてきてます。さらに読みづらい文体が邪魔してきます。せっかくやる夫なので直せばいいのに。と思いますが、きっと大事な演出なんです。文体あってこそだと作者が判断したと思われます。文句言わずに気合入れて読みましょう。

そして論文が読み終わるとやっと解決編です。謎が解けていく様はさすがに爽快で面白いです。ちゃんと推理小説してます。カオスなだけの一発ネタではないので安心してください。そしてオチががっかりです。ただ1935年作と考えれば当時は凄かったかもしれません。現在はあんまり珍しくないオチです。ここが原点かもしれない。歴史を垣間見てください。




0 件のコメント:

コメントを投稿